インジェクションチューニング

  1. 全車インジェクションモデルに
  2. インジェクション車とキャブレター車の違い
  3. インジェクションチューニングとは
  4. シャーシダイナモの必要性とは?
  5. 使用デバイス / チューニング料金
  6. O2センサー
  7. 一国的に

全車インジェクションモデルに

ハーレーダビッドソンは2007年に全車インジェクションモデルとなりました。それまでのキャブレター車にかわり、エンジンへの燃料の供給をコンピューターによる電子制御の噴射方式になりました。また、燃料供給以外のエンジンマネージメントに関わる部分もECM(エンジンコントロールモジュール)によって制御されています。キャブレター時代にはあった『チョーク』や『加速ポンプ』『点火タイミングの調整』など、手動で操作・調整していたものが電子制御されています。

時代、環境の変化とともに様々な規制や道路事情に対応するため、そしてハーレーダビッドソンの乗り味を損なわない様、排気量アップやニューエンジンの投入などが行われてきています。ECM内に書き込まれているマッピングデータも年式や車種によって異なり、またアメリカ本国仕様と日本仕様でも異なります。

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インジェクション車とキャブレター車の違い

自動か手動か。寒い日や暖かい日、キャブレター車の場合エンジン始動時にはちょっとしたコツが要ります。キャブ車でもインジェクション車でもガソリン(燃料)と空気の混合気をエンジンに送り込み爆発させるという仕組みは同じです。インジェクション車には、エンジン温度やクランクポジションなど様々なセンサーがついており、その時の最適な量を計算し燃料を噴射しています。チョークを引いたり、右手で微妙なアクセル操作などは不要になりました。メーター内にあるエンジンチェックランプはトラブル時などに点灯し、センサー類の異常を教えてくれたりします。エンジン始動時には、キーをオンにすると、4秒間点灯後⇒消灯します。この4秒間に現在の状況を計算し、燃料ポンプに圧力を掛け始動の準備をしています。

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インジェクションチューニングとは

キャブレター車の時には”セッティング”と呼ばれていたもの。メインジェットやスロージェット、ニードルの段数、加速ポンプの吐出量などを変更しそのエンジンの最適な燃焼のために施すものです。インジェクション車の場合そのセッティング領域はより細分化されており、すべての領域において正確に整えることが可能です。例えば、空気とガソリンの混合気(A/F)の濃さ、エアクリーナーからシリンダー内に吸い込む空気の量、点火タイミング、アイドリング回転数等々をエンジン回転数やスロットル開度などに合わせセッティングをしていきます。

なぜ?インジェクションチューニングが必要なのか?ノーマルの車輌は様々な日本独自の規制をクリアするために混合気の濃さが随分と「薄く」セットされた状態です。容量の小さなエアクリーナーでは吸入する空気の量は少なく、抜けの悪いマフラーでは排気する量も少ないです。それに合わせ、噴射する燃料(ガソリン)の量も少なくセットされていますので、本来シリンダー内(排気量分)に吸い込めるはずの沢山の流入量以下のパワーやトルクしか出ていません。エアクリーナーやマフラーを交換すると音や見た目が変わるのはもちろんですが、エンジンの中に入ってくる空気の流入量が変わります(増えます)。ノーマルのコンピューター内には、ノーマルのエアクリーナー、ノーマルのマフラーでの吸入空気量のデータが入力されています。エアクリーナーやマフラーを換え、空気の流入量が増えた分をデータを書き換えて合わせる。という作業がチューニング内容の一部になります。

混合比(空気とガソリンの割合)の数値だけを濃くしても、吸入空気量のテーブルをセッティングしないことには、狙った混合比の通り燃焼しないという事になります。エンジンにとって適正な燃焼が行われると、パワーやトルクが増加することはもちろん、燃焼温度も下がりますので内股の熱さも軽減されます。また、ほとんどの場合燃費も向上します。エアクリーナーやマフラーがノーマルのままでもその効果は発揮いたします。日本仕様のデータは余裕を持って規制をクリアできるデータとなっておりますので、適正化することによりエンジンの発熱量も減り、乗りやすさが向上します。

ただし前述の通り、流入量は増加しない為大幅なトルクやパワーの増大は望めません。また、排ガスの濃度は車検規定値を超えることはございません。(経年や走行距離によるエンジン内の消耗・劣化等によって変化致しますので、全てではありません)あらゆる面に於いてエンジンにとって優しく、健康な状態になると言えます。

このグラフは2009年スポーツスター1200のものです(エアクリーナーはすべてハイフロータイプに交換済み)。
赤線:ノーマルマフラー 青線:クロームワークスのスリップオン装着しただけ 緑線:チューニング後

横軸がエンジン回転数、縦軸がパワー・トルク及び混合比を読み取ったものです。ノーマルでは出足の1500rpmからトルクの落ち込みが始まり、2500rpmから少し力が出てきますがその後横ばい状態。スリップオンに交換すると2200rpmあたりが急激な”トルクの谷”になってしまっているのが分かります。これがスタート直後のもたつき感として皆さまが感じていらっしゃる部分になると思います。

下のA/Fグラフの点線からズレている分が日本の規制により混合比が薄くなっている部分で、2200rpm付近が極端にずれている(薄い)のが分かると思います。ここまで薄いと当然エンジンの発熱量も多くなるという事です。A/Fグラフの緑線がチューニング後のものです。狙ったラインである点線に沿うようにチューニングを施します。その結果が上図緑線の滑らかなパワー・トルク曲線となります。

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シャーシダイナモの必要性とは?

インジェクションチューニングに必要不可欠ともいえるシャーシダイナモ。当店ではアメリカDYNO JET社製 MODEL250i を導入しております。この二輪車用負荷装置付き最新モデルと最新制御ユニット”Dyno Ware RT" そして、”WinPep 8”というソフトを併用しチューニングするためのデータを計測します。負荷装置を利用し様々な回転数や速度で、どのアクセル開度でも固定することが可能なため通常走行条件下に於けるいろいろなシチュエーションを再現することが出来ます。

シャーシダイナモ導入前のチューニングの方法には限界がありました。試乗にてデータを取りセッティング、また試乗。の繰り返しになりますが、全ての条件下での走行はほぼ不可能だったと思います。例えば急な上り坂に出くわせば同じ速度でもアクセル開度は大きくなると思います。逆に下り坂になればアクセルはほぼ全閉に近い状態。高速域での急な追い越し加速など。アイドリングからフルスロットルまでのエンジン回転数とアクセル開度のすべてのデータを採取するには、前後のシリンダー合わせると450〜500ヵ所のマスを埋めることになります。

シャーシダイナモとは、単に何馬力出ているかを計る装置ではなく、様々な走行条件を再現できるセッティングに必要な道具なのです。A/F計が連動しておりますのでワイドバンドのO2センサーにより、すべての領域でA/F(空気とガソリンの混合比)を計測し、セッティングデータを採取します。

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使用デバイス / チューニング料金

当店ではいわゆる”フラッシュチューン”と呼ばれるノーマルコンピューター書き換えタイプの方法でインジェクションチューニングを行わせて頂きます。

ハーレーダビッドソンのインジェクション車はECM(エンジンコントロールモジュール)と呼ばれるコンピューターが、車輛に取り付けられている各センサーからの信号を元に作動しています。インジェクションチューニングの方法としては大きく分けると2つあり、このECM自体を社外品のものに交換し、そのコンピューターにデータをインプットし動作させるものと、純正のECMの中身を書き換えるものとがあります。

後者の方法をフラッシュチューンと総称し、ECMを書き換えるためのデバイスも様々なものが発売されています。現在日本で走行しているほとんどのハーレーダビッドソンが正規ディーラー車であると思います。万が一のトラブル修理や純正セキュリティへのアクセス、ABSのブリーディング作業等。純正のECMでないと作動しない機能もございます。および純正ECMの信頼性の高さから、当店では”フラッシュチューン”にてインジェクションチューニングを行わせて頂きます。

当店取扱いデバイス

どのデバイスも最良のセッティングをするにあたり同等のものですが、それぞれ細かな機能や特徴が異なります。

スーパーチューナー‹Screamin’ Eagle›

ハーレーダビッドソン純正スクリーミンイーグルがリリースしているデバイスです。

内容 料金(税抜)
デバイス本体 ¥89,000
計測およびプログラムマップ作成 ¥60,000(デバイス持込の場合:¥68,000)
ワイドバンドO2センサー取付加工
(車種・年式・取付エキゾーストによっては必要になります)
¥10,000
  • 純正部品ですが、レース専用品として販売されており開封後の保証はございません。
  • 使用ソフトは無料でダウンロード出来、お客様ご自身でもアイドリングの変更などマップの操作は可能です(エンジン知識の無い状態でのマップデータの変更操作は推奨いたしません)。
  • 常に最新の年式・車種のマッピングデータが用意されており、そのベースマップを元にセッティングを施していきます。ただし、スクリーミンイーグル製の吸排気やボアアップキットなどが前提になっています。
  • ノーマルのマップは用意されていませんので、ノーマルに戻すことは不可能です。ただし、ディーラー様にてキャリブレーション(PCの初期化みたいなもの)を行うとノーマルに戻ってしまいます。車検時などノーマルに戻ってしまった場合などはご相談ください。
  • アイドリング回転数は800rpmまで落とせます(高年式一部車種は850rpm)。
  • スマートチューンという機能が付いており、車輌に繋げて走行データを取ることが出来ます。純正O2センサーの出力を記録し補正がかけられますが、純正のO2センサーはナローバンドのため補正範囲が狭いです。当店のチューニングではスマートチューンの機能は使用せず、ワイドバンドO2センサーに交換しすべての領域をセッティングさせて頂きます。
  • 一度通信した車輛以外とは通信は不可能です。チューニング終了後はお客様(オーナー様)にお渡しいたします。再セッティングなどの時に必要になります。電子部品ですので大切に保管をしてください。

ディレクトリンク‹Techno Reseach›

アメリカテクノリサーチ社製のUSBタイプのデバイスです。

内容 料金(税抜)
チューニングキー本体 ¥48,000
計測およびプログラムマップ作成 ¥60,000(デバイス持込の場合:¥68,000)
ワイドバンドO2センサー取付加工
(車種・年式・取付エキゾーストによっては必要になります)
¥10,000
  • ハーレーの故障診断ソフトのセンチュリオンやディレクトリンクを開発し、ハーレーのECMを熟知しているメーカーです。
  • 日本におけるサポートは”HRD Perfomance”社が行っており、アフターサービスについても安心です。
  • 様々なマッピングデータが用意されており、そのベースマップを元にセッティングを施していきます。
  • チューニング前にECM内にあるノーマルデータを吸い出して保存させて頂きますので、ノーマルデータに戻すことも可能です。
  • 高精度のオートマッピング機能が備わっておりワイドバンドO2センサーを使用し全領域のチューニングマップを作成します。
  • アイドリング回転数は600rpmまで落とせます。
  • アイドリング時の点火タイミングを個別に設定できるので、”三拍子”化が可能。
  • 当店ではアイドリングを極端に下げることは積極的におススメしておりませんが、”三拍子”のご相談はご説明の上、施行は可能です。
  • 一度通信した車輛以外とは通信は不可能です。チューニング終了後はお客様(オーナー様)にお渡しいたします。再セッティングなどの時に必要になります。電子部品ですので大切に保管をしてください。

パワービジョン‹DYNO JET›

アメリカダイノジェット社製 専用モニター付き

内容 料金(税抜)
パワービジョン本体 ¥84,800
計測およびプログラムマップ作成 ¥60,000(デバイス持込の場合:¥68,000)
ワイドバンドO2センサー取付加工
(車種・年式・取付エキゾーストによっては必要になります)
¥10,000
  • ご存知DYNOJET社からリリースされていますモニター付きフラッシュチューナー
  • モニターはタッチパネル式になっています。
  • モニター内には最大8個のプログラムを保存することができ、簡単に変更可能。
  • 例えばノーマルデータを保存しておけば簡単にノーマルに戻すことが可能。
  • 最新は日本語表記バージョンも発売されています。
  • タコメーターはもちろんエンジン温度や点火タイミングなどエンジン内の情報を画面上に表示することができます。
  • まずはノーマルデータを吸い出しパワービジョン内に保存し、そのノーマルデータを元にチューニングマップを作成していきます。
  • シャーシダイナモを製造しているDYNOJET社の商品ですから、当店で使用しているシャーシダイナモとの連動もし、素早く正確にチューニングマップの作成が可能。
  • アイドリング回転数は800rpmまで落とせます。
  • ご自分でプログラム変更をされる方にはおススメ商品です。(エンジン知識の無い状態でのマップデータの変更操作は推奨いたしません)
  • 当店では日本正規品のみの取り扱いになります。

ダイノフラッシュ‹DYNO JET›

アメリカダイノジェット社製 ダイノフラッシュライセンス

内容 料金(税抜)
ダイノフラッシュライセンス ¥39,800
計測およびプログラムマップ作成 ¥60,000(デバイス持込の場合:¥68,000)
ワイドバンドO2センサー取付加工
(車種・年式・取付エキゾーストによっては必要になります)
¥10,000
  • ダイノジェット社パワービジョンのモニター無しとお考え下さい。
  • 当店にあるパワービジョンのソフトを使用しチューニングさせて頂く方法です。
  • お客様にはパワービジョン本体をご購入いただく必要はなく、上記ライセンス料金のみのご負担となります。
  • トータルコストを安く抑えたい。でも完璧なセッティングを出したい。モニターがあっても自分では何もわからない。という方におススメの商品です。
  • チューニング内容はパワービジョンと全く同様のものです。
  • まずは当店のパワービジョンにてお客様のハーレーのECM内のデータを抽出し、そのECMと通信できるためのライセンスコードをダイノジェット社より発行。そのライセンスコードを元にチューニングを施します。
  • チューニング完了後そのライセンスコードは当店にて保存させて頂きます。
  • チューニング後のボアアップやエンジンの仕様変更のための再セッティングは当店でのみ行うことが出来ます。

ダイノマシンによるパワーチェックのみも受け付けております。

内容 料金(税抜)
ダイノマシンによるパワーチェック ¥5,000



O2センサー

インジェクションチューニングの燃料補正(燃調)を行うにあたり非常に重要な”キモ”となるセンサーです。その名の通り『酸素センサー』です。2007年以降すべてのハーレーダビッドソンに装着されています。エキパイに取り付けられたO2センサーは燃焼後に残った酸素の量で、エンジンの燃焼状態を判断しています。酸素の量で、燃焼ガス濃度が濃い?薄い?と判断できるのです。

A/F=ガソリンと空気の混合比。空燃比ともいいます。ハーレーのインジェクションチューニングに於いてO2センサーはA/Fセンサーともいえる大事な部品です。標準で車輛に付いているO2センサーはナローバンドと呼ばれるもので、狭い範囲でしか作動せず、インジェクションチューニングを行う際にはワイドバンドO2センサーに付け替えてすべての領域のA/Fをチェック・補正していきます。

標準のO2センサーには年式により18mmと12mmの2種類の取付ネジがあり、エキパイに付いているO2センサー取付用のボス(ネジ山の部分)の大きさが異なります。ワイドバンドO2センサーは18mmのため高年式の車輌では取付のための加工が必要になります。

  1. ヒートシールドに隠れる部分などに穴加工
  2. ナッター(ネジ山になる部分)を取り付けます
  3. ワイドバンドO2取付のためのアダプター
  4. チューニング終了後はM6ネジにて塞ぎます
内容 料金(税抜)
ワイドバンドO2センサー取付加工
(車種・年式・取付エキゾーストによっては必要になります)
¥10,000
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一国的に

上記ご説明によりなんとなくインジェクションチューニングの流れはご理解頂けましたでしょうか。様々なハーレーがあり、様々なハーレー乗りがいます。カスタムも多様、乗り方も多様だと思います。

よく見かけるパワーグラフ(ダイノグラフ)。これはハーレーの場合4速ロールオンのグラフです。ギヤを4速に入れ、アクセル開度100%(全開)のエンジンの出力とトルクを計測したものです。チューニング前とチューニング後の特性の変化や何馬力出力アップしたかなどの比較目安になってきます。

しかし、一国的に考える殆どのハーレー乗りの方が最高出力の出る回転数(5500rpm以上)を常用しているとは思っておりません。低中速域の1500〜4000rpmくらいがよく使うところではないでしょうか?最高出力というよりは、最大トルクの発生する領域が楽しいエンジンではないかと思っております。もちろん低速から高速域までのすべての領域でセッティングをさせて頂きますが、なるべくエンジンに負担が掛からぬよう特に高速域は短時間で正確に作業を進めるよう心掛けています。

例え同じ仕様のエンジンでも1台1台が異なり、乗る方のアクセルの開け方も千差万別だと思います。チューニング前にはお話をお伺いさせて頂き、そのハーレー、そのオーナー様のベストセッティングとなる様1台1台正確にデータを採取し、正確に狙ったところをチューニングさせて頂きます。ご不明な点、ご質問等ございましたらどしどしお気軽にお尋ねください。

是非、愛車を”健康”な状態に!

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